航空宇宙 AE63:フライト認証可能な組込み電子機器の製造と購入

はじめに:

航空機イメージ

航空機の新規導入にはかなりの課題が伴います。それはジグソーパズルのように複雑であり、操縦、遠隔操縦、または非操縦、固定または回転翼、さらに航空機は、政府の認定、貨物の認定、都市の空中移動または旅客サービスを含む使用のための認定が必要です。

民間航空機または軍用航空機の設計/アップグレードプロセスを開始する前に、多くの質問に対処する必要があります。通常、外部の会社と契約するか社内で実施するかのエンジニアリング手順を決定することがそのリストの最初にあります。

航空機のコンピュータを考えてみましょう。

・新しい組込み電子機器を作成するには、どれだけの費用とエンジニアリングリソースを必要としますか?

・電子機器の開発は、構造設計段階の前、設計中、または設計後に実施しますか?

・設計および設置が完了すると、組み込み電子機器は厳格な認証要件に合格しますか?

一部の航空機設計者やシステムインテグレータは、すでに社内でコンピュータを設計しています。企業にとってこの質問は必ず聞かれますが、できるからと言ってそうするべきでしょうか。航空機設計者の主要業務から注意をそらすものはすべて、プロジェクトの超過、遅延、または設計不具合につながる可能性があります。

 

パートナーとの協力:

広く適用可能な汎用コンピューティングプラットフォームを提供してきた長い歴史を持つパートナーと協力することは、実行可能な代替手段です。これにより、航空機設計者は列線交換ユニット(LRU)のフルボックスレベルまたは独自のシステム設計と統合を行う企業向けのモジュールのいずれかに独自の価値を追加するための無数のオプションを利用できます。

オープンアーキテクチャコンピューティングと電子システムのサプライヤは、すべての安全アーティファクトを生成するために必要な設計とプロセスを実行します。ただし、プラットフォームは、プロセッサ、通信インターフェイス、I/O、ビデオとグラフィックス、およびアビオニクスバスのサポートを備えた空白のキャンバスとして提供されます。これにより、航空機の設計者はプラットフォーム上に独自の固定機能(例えば、独自のプライマリフライトディスプレイ)を作成できます。独自の組み込み電子機器を開発することを決定していない企業、または代わりにパートナーと協力する企業は、成功を確実にするために設計プロセスの開始時に絡み合ったコスト、リスク、および市場投入までの時間の影響を考慮する必要があります。

UAV

 

コストを最優先:

信頼性と安全性は、認定された航空機設計プロジェクトの前提条件であり、航空局は長い間認定を義務付けてきました。FAA(アメリカ連邦航空局)は1982年にAC20-115を発行してソフトウェアの承認を取得する手段としてDO-178を注意喚起し、2005年にAC20-152を発行して電子ハードウェアの飛行認証承認を取得する手段としてDO-254を注意喚起しました。そのためプロジェクトのコストとリソースの割り当ては、新しい航空機設計の主要な検討事項として残ります。コンピュータを新規開発するのではなく、システムの機能に焦点を合わせて認定可能な航空機システムを構築することを選択することは大幅なコスト上の利点を実現できます。

回転翼例えば、認証プロセス自体は標準のAS9100開発と比較した場合かなりのコスト増となります。企業が独自の認証可能なコンピュータブロックを開発するためにエンジニアリング時間に数百万ドル(数億円)を投資することは珍しいことではありません。ただし、市販されている認定済みの組込み電子機器を提供している企業と協力することで、大幅なコスト削減を実現できます。このテクノロジーへの投資は、すでに多くのプロジェクトや顧客に対して償却されています。その結果、企業のコストはコンピュータプラットフォームを自分で設計した場合よりも大幅に低くなります。平均的に、ゼロから設計する場合とパートナーと協力する場合を比較した場合、通常の節約は数百万ドルと数千時間に達する可能性があります。

 

 

リスクの軽減:

独自の組み込み電子機器を設計することを選択した場合はかなりのリスクを伴います。ただし、事前に認定された汎用コンピューティングプラットフォームを購入することでこれらのリスクが大幅に軽減されます。コスト超過は、企業が独自のコンピュータプラットフォームを設計する場合の最も一般的なリスクです。スケジュールの超過、市場投入の遅れ、顧客からの潜在的な金銭的ペナルティ、および利益の機会損失など重大な賭けとなります。

ただし、サプライヤがシリコンチップサプライチェーンのリーダーと提携する場合、これらのリスクは大幅に軽減されます。最高の汎用コンピューティングプラットフォームサプライヤは、最新のチップの進歩、コンピュータのライフサイクル、およびその他のサプライチェーンの考慮事項を常に把握しています。これらには、偽造部品の回避、陳腐化の管理、および長期的なサポートが含まれます。その結果、リスクに対抗することは後からではなく前もって考えられるようになります。これらのサプライヤは、NXP社、Intel社、NVIDIA社などと緊密に連携してビジネスを構築し、その高度な最新テクノロジーを顧客に提供しています。

もう1つの大きなリスクは設計不具合です。航空機の設計者とシステムインテグレータは、コンピュータの設計プロセスを完了し認証に向けて取り組んでいます。ただし、そのプロセスに於いて監査人は設計自体ではなく主にプロセスを見ている場合があります。

また、最新のプロセッサには高度な専門技術と正確なプリント回路基板(PCB)の設計技術が必要です。この専門知識は、信号速度と正しい回路図から動作するPCBへの移行処理をするために不可欠です。この技術的な監査がなければ、設計がプロジェクトの最後に機能検証および妥当性確認テストフェーズに合格するという保証はありません。認定されていない最先端のテクノロジー製品を日常的に開発している企業は、認定プログラムに適用された時この蓄積された専門知識の恩恵を受けます。

テストに合格し設計認定を取得するための最も効率的な方法は、既製のプラットフォームを提供する企業と協力して、必要なときに適切な設計を利用できるようにすることです。監査のためにコンサルタント指定エンジニアリング担当者(DER)を保持する開発全体のプロセスは、問題をタイムリーに特定して修正することによりリスクを大幅に削減できます。

UAVイメージ

 

市場投入までの時間損失:

認定された汎用コンピュータプラットフォームを航空分野で市場に投入するには、通常何年もかかります。そのため、航空機の汎用コンピュータプラットフォームの設計と認定にかかる時間の経過とともに設計が古くなる可能性があります。ただし、前述したチップメーカーとのパートナーシップにより主要なコンピューティングプラットフォームのサプライヤは、開発中のシリコンロードマップを認識しておりこれらをテクノロジー導入製品のラインナップに組み込んでいます。これらのパートナーシップにより、最新のチップ技術が回路基板の設計に含まれるようになります。生産準備が整ったハードウェアの継続は、常に最新の製品が利用可能であることを意味し、企業はシリーズでプロトタイプを作成し生産に移る前に新しくリリースされた世代に移行することが可能になります。

さらに企業は、すべての組込みコンピュータドキュメントを作成し、すべての目的を達成するための適正調査を実行する場合があります。(単独で機能しても最後には最終テストに失敗します)

その時点で、企業は低レベルのボードまたはシステムレベルでプラットフォームを再設計し、認証プロセスを繰り返す必要があります。これは、市場投入までの時間と航空機を認証する作業に大きな影響を与えます。(その作業に何百万もの無駄があったことは言うまでもありません)

費用対効果が高く最新の汎用プラットフォームにアクセスできる企業と協力することで、認定製品が市場で適切であることを確認できます。ただし、航空機の設計者が独自の組込みコンピュータ設計を実行する場合、それを導入できるようになるまでに数年かかります。既製品の組込みコンピュータを購入することにより、企業は遅滞なく市場に参入することができます。

 

まとめ:

幅広いポートフォリオと航空機市場およびそのセグメントの広い視野を持つ一般的なコンピュータプラットフォームベンダーと協力することで、コスト、リスク、および市場投入までの時間を削減します。これらのベンダーは、航空機設計会社のコストを数百万ドル節約するだけでなく、開発時間を大幅に短縮することができます。コンピュータボードはすでに最新のチップ技術で開発されているため、コストは時間の経過とともに償却されてきました。

最終的に検証と妥当性確認のテストに失敗する可能性のある非効率的で線形のレビューではなく、構造設計プロセスと並行して独立した監査人と協力するオープンアーキテクチャコンピューティングおよび電子システムのサプライヤを探してください。これらの企業は、主要なチップメーカーと既存のパートナーシップを結んでおり、最新のチップ技術が設計プロジェクトに含まれるようにしています。Abaco Systemsは、市場の全体像を把握し顧客のさまざまなニーズを理解して、これらすべてのニーズを統合します。この方針により、Abaco Systemsは新たなトレンドをより適切に計画できるようになり、最終的にコストを抑え、信頼性を高め、サプライチェーンを継続させることができます。

 

 

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原文ドキュメント:Abaco Systems社

considering_the_make_vs._buy_decision_for_flight-certifiable_embedded_electronics.pdf

Considering the Make vs. Buy Decision for Flight-Certifiable Embedded Electronics

 

 

 

Abaco Systems社について

Abaco Systems社は、30年以上前の英国Plessey Microsystems社がルーツとなる企業です。Plessey社はICS社とOctec社を買収してRadstone社となりました。2006年にRadstone社は、SBS社、VMIC社、Condor社などの組み込みコンピューティング企業を買収したGE Fanuc Embedded Systems社に買収されました。2015年にEmbedded Computing部門がVeritas Capital社に買収され、Abaco Systems社が誕生しました。更にAbaco Systems社は4DSP社を買収し、FPGAボードやAD/DA FMCモジュールのラインナップを拡充して組み込みシステムビジネスのリーダーとしてマーケットを牽引しています。Abaco Systems社の詳細については、www.abaco.comを参照してください。

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