物理科学 , 量子コンピュータ AE04:量子研究に十分な精度の任意波形発生器

背景:

精度は研究において常に重要であり、量子研究よりも高い精度を必要とする研究分野はほとんどありません。オーストリアのインスブルック大学の量子光学および量子情報研究所は、研究用にさまざまな信号を生成するために任意波形発生器(AWG:D/Aボード)を必要としていました。

 

無線周波数の形態:

イオントラップ

第1の用途は、無線周波数領域で多重周波数信号を印加することです。各周波数成分は正弦関数を用いて実現されます。結果として生じるビート信号は、トラップイオン量子シミュレータ内の個々のイオンを同時にアドレス指定するために使用されます。イオントラップをFigure1とFigure3に示します。

研究者であるChristine Maier氏は、次のように説明しています。「これを達成するために、私達は音響光学偏向器(AOD)を通してレーザビームを送ります。このAODクリスタルに適用される無線信号の周波数は、レーザビームの偏向角を定義し、それによって私達の線形イオン列のどのイオンがアドレス指定されるかを決定します。AWG(D/Aボード)によって、それぞれ任意の振幅を持った複数の周波数の信号を生成できるようになりました。つまり、イオン列の複数のイオンを同時にアドレス指定できるようになりました。この利点の1つは、各イオンを個別に順番にアドレス指定することを繰り返す必要がないため、実験が高速になることです。しかしそれはまた私達にとって全く新しい研究分野を切イオンストリングり開いています。今までのところ私達はイオン鎖の中で乱れていないエネルギー輸送だけを調査することができました。しかし、個々のイオンを任意の強度でアドレスすることで、任意のポテンシャル障壁を作り出し、無秩序な量子系におけるエネルギー輸送を調べることができます。AWGは動的な無秩序現象を研究するために時変ポテンシャルをプログラムすることも可能にします。」

 

相殺的干渉:

イオントラップイメージ2第2の用途は、例えば音響光学変調器に多重周波数信号を印加するときに生じる望ましくない周波数の干渉による相殺です。「音響光学結晶にRF信号を適用することは、私たちの研究室では基本的な技術です。」と彼女は付け加えます。「複数の周波数の信号を印加すると、いくつかの和-周波数成分と差-周波数成分が発生し、最後にイオンに送信している光信号にマッピングされます。これには2つの問題があります。1つは、実際に必要な周波数成分から電力を失うこと、2つ目は、混合項がイオン鎖のいくつかの共鳴周波数に当たって、シミュレートしたい量子モデルを破壊する可能性があるということです。AWG (D/Aボード)を使用することで、リアルタイム測定およびフィードバックループにおける相殺的な干渉を介して、これらの問題を相殺することができます。」 用途が多岐にわたるため、出力を用途に合わせて簡単にカスタマイズできるように、PCを使用して簡単にプログラムできるAWG (D/Aボード)を用意することが重要でした。Figure5に示すようなSpectrum製 「M4i.6631-x8」が選択されたのは、PCI ExpressカードであるためそれをPCに組み込んで直接駆動できるからです。

ラボラトリセットアップ

 

「M4i.6631-x8」 AWGの使用:

AWG「それは高度に設定可能です。」、Maier氏は付け加えます。「2つのAWG (DAC)チャンネル、トリガオプションの選択、外部クロック入力、マルチプルおよびゲート再生モード、ルーピング機能、さらにロジックゲートを介して2つのトリガ入力を組み合わせることも可能。 高解像度と1.25 GS/sのサンプリングレートを組み合わせることで、現在あるプロジェクトに柔軟性を提供すること、そして重要なのは1つの機器で将来必要になる可能性を考慮し論理的な選択ができたことです。」

Spectrum製 D/Aボード「M4i.6631-x8」は、4GBの内部メモリからロードされた波形を最大1.25GS/sの速度で再生できます。デジタル信号は、16ビットのD/A変換を使用して定義されたオフセットと振幅を持つアナログ出力信号に変換され、現実の世界で見られるものをシミュレートする詳細な信号を提供します。過去に取得した波形や、DCから400MHzまでの計算波形、またはシミュレーション波形を再生することができます。オンボードメモリが限られているために信号の再生時間が短縮されている他のAWG (D/Aボード)とは異なり、独自のFIFOストリーミング機能を備えているため、一度に何時間も任意波形を生成することができます。これにより、テストをはるかに長期間実行することができます。

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原文ドキュメント:Spectrum Instrumentation社

cs_awg_quantum_research.pdf

Arbitrary Waveform Generator precise enough for quantum research

 

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M4x.6631-x4:1.25GHz 高速D/A ボード (PXIe)

 

Spectrum Instrumentation社について

Spectrum社は、Spectrum Systementwicklung Microelectronic GmbHとして1989年に設立され、2017年にSpectrum Instrumentation GmbHに改名されました。最も一般的な業界標準(PCIe、LXI、PXIe)で500を超えるデジタイザおよびジェネレータ製品を作成するモジュール設計のパイオニアです。これら高性能のPCベースのテスト&メジャーメントデザインは、電子信号の取得・生成および解析に使用されます。同社はドイツのGrosshansdorfに本社を置き、幅広い販売ネットワークを通じて世界中に製品を販売し、設計エンジニアによる優れたサポートを提供しています。 Spectrum社の詳細については、www.spectrum-instrumentation.comを参照してください。

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