FMC (ANSI/VITA 57.1) とは

1.FMCとは?
FMCイメージ1) 主に FPGA が実装された基板のための I/O 拡張を行うために使われる規格です。
2) FPGA と I/O を一つの基板で設計すると、コンパクトにでき性能も高めやすいですが、品種を増やすのが難しくなります。
3) FPGA と I/O を別基板に分け、その接続部分を規格化し、メーカー間で相互に接続できるようにして様々なアプリケーションに柔軟に対応することを目指しています。
4) FPGA Mezzanine Card の略で、組み込み機器関係の規格策定を行っている VITA が策定しました。
5) 規格番号は ANSI/VITA 57.1 です。(詳細はvita.comのサイトをご確認ください)
2.用途は?
1) A/D、D/A、画像入出力、通信、制御といった用途に向けた FMC が、様々な会社からリリースされています。
3.スペックは?
FMCサイズ1) 官製はがきの半分程度の大きさで、FPGA ボードとは 400 ピンのコネクタで接続されます。
2) 最大80ペアの差動信号 (又は最大160本のシングルエンド信号) 、最大4系統の差動クロック、最大10ペア×双方向の高速シリアル通信用差動信号、最大2系統の高速シリアル用差動クロック、JTAG用ピン、Geographicalアドレスピン、I2Cピンが備えられています。
3) データレートは FPGA や FMC 上のデバイスの制約を受けますが、差動信号は1ペアあたり 1Gbps 以上、高速シリアル通信では1ペアあたり 3Gbps 以上が想定されているようです。
4) より大きいコネクタを使用し、信号の追加や想定するデータレートを向上させた、FMC+ という規格も VITA 57.4 として規格化されています。
4.HPC と LPC とは?
1) FMC では同じ物理形状のコネクタが使用されますが、実際にアサインされる信号の数によって HPC と LPC に分けられます。
2) LPC (Low Pin Count) は、最大34ペアの差動信号 (又は最大68本のシングルエンド信号)、最大2系統の差動クロック、最大2ペア×双方向の高速シリアル通信用差動信号、最大1系統の高速シリアル用差動クロックに対応します。
3) HPC (High Pin Count) は、最大80ペアの差動信号 (又は最大160本のシングルエンド信号) 、最大4系統の差動クロック、最大10ペア×双方向の高速シリアル通信用差動信号、最大2系統の高速シリアル用差動クロックに対応します。
4) JTAG用ピン、Geographicalアドレスピン、I2Cピンは共通で備えられています。
5) HPC 対応製品は、より高機能、高性能な製品に利用されます。
5.通信プロトコルは?
1) FMC では、I2C、JTAG 以外は、通信についてプロトコルは決まっていません。
6.耐環境仕様は?
サーマルインタフェース1) コンダクションクールのためのサーマルインタフェースの規定がされています。
2) 対応製品もリリースされています。
7.互換性は?
FMC の互換性については注意が必要です。
互換性を確認する対象は、FPGA ボード、FMC の両方です。

 

7-1.物理形状
1) 安価な FMC は、FMC 規格外の形状をしている場合があります。
2) 規格外の場合、FPGA ボードや、それを組み込む筐体で、対象の FMC が使用できるかを確認してください。
7-2.電圧
1) FMC は信号の電源として VADJ という端子が規定されており、FPGA ボードから FMC に供給します。
2) FPGA が供給できる電圧の範囲、FMC が受けることのできる電圧の範囲を確認する必要があります。
3) 例えば FPGA ボードが 2.5V しか供給できないのに対し、3.3V でしか動作保証されていない FMC を組み合わせることはできません。
7-3.ピンアサイン
1) FMC の規格では、ピンアサインは決まっていますが、全ての信号が必ずつながっていなければいけない、とはされておりません。 そのため、規格で決められた全ての信号が使えるとは限りません。
2) 例えば HPC では最大80ペアの差動信号が規定されていますが、ある FPGA ボードでは34ペアしか使用できない、ということがあります。
3) また LPC の範囲より1本でも接続が多ければ HPC と分類されるため、特に HPC とされているものは使用できる信号数を確認してください。
4) この他、例えば最大34ペア、又は最大80ペアの差動信号の中でも、使用する優先順位が決まっていないため、接続されている信号の本数は足りているのに、FPGA ボードと FMC で異なるアサインになっていることで使えないケースも多くあります。
5) 使用を検討する際は、FPGA ボードと FMC のピンアサインをよく確認してください。
6) こういった互換性の改善について、VITA でも検討がされているそうです。
8.電力
1) 極稀に、FMC の規格を超えた電力を要求する FMC があります (DSP 搭載品など)。
9.使用時の注意点は?
1) FMC コネクタは抜き差しに対する耐久性はあまり重視されていませんので、何度も差し替える用途はあまり想定しない方が良いです (それでもあるメーカーは100回程度は問題無いというコメントがありました)。
2) FMC 側のデバイスにも依りますが、FMC の冷却についても考えておいた方が良いです。特に FPGA 評価ボードは FMC の冷却について考慮されていないので、別途冷却ファンが必要になる場合があります。
10.FMC 対応 FPGA ボードを新しく作るときの注意点は?
1) 機械的、電気的な点の他は、等長配線と冷却に関するところがポイントになるようです。
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