レーダ・LiDAR , 計測・測定 AE85:A/Dボードを使用した火山の早期警報システム

Spectrum製デジタイザは6キロメートル離れた場所から僅かな動きを検出します

中央アメリカのグアテマラには、常に活動している火山が 3つありそのすべての火山の近くに村があるため、噴火の早期警報システムを設置することが極めて重要です。このようなシステムはすでに存在しますが、これら特定の火山は溶岩の代わりに火砕密度流 (PDC) の流れを生成します。極めて危険な PDC雲はガス・岩石・灰で構成され、最高 800℃の熱を発しながら最高時速 600km の速度で移動します。したがって、避難については可能な限りの警戒を行うことが重要です。Amin Amiri博士率いるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のチームは、PDCを研究し非常に高い感度を備えたレーダーベースの早期警戒システムを開発しています。コア部分は、Spectrum Instrumentation製のPCIeデジタイザ「M2p.5921-x4」です。 非常に感度が高いため、火山の斜面から装置を設置した距離である 6キロメートルの距離でも僅かな動きを検出できます。

Early Warning figure1

この装置は、送信および受信用の反射板を含む X/Kuバンドレーダーシステムで構成されています。PDCが火山の斜面に現れるたびに、戻ってくる信号が発信信号と比較され範囲と移動情報を含む中間周波数 (IF) 信号が生成されます。IF信号は、M2p.5921-x4 カードによって毎秒20メガサンプルでデジタル化されSpectrumのSBench 6測定ソフトウェアを使用して処理されます。

Early Warning figure2「私たちはサンティアギート火山の斜面の 1つを監視する装置の設置から戻ってきたところです」とAmin Amiri博士は説明しました。「これは、この種の火山活動のメカニズムを理解しようとする、PDC現象に関する最初の研究です。いつ起こるかわかりませんので、揺れを感知するとレーダーシステムを作動させる地震活動検知装置を備えています。 これにより、PDCイベントに関連するデータのみが取得されるようになります。この装置はグアテマラのジャングルの奥深くにあり、ソーラーパネルによって充電されるためシステムのバッテリー電力も節約します。保存されたデータを収集し、他の 2つの斜面を監視するためのさらに 2つの装置を設置するため、数か月後に戻ってくる予定です。」

当初の設計では目標から4キロメートルの距離で動作するように指定されていましたが、ジャングル内の地形が適していなかったため、さらに奥の6キロメートル離れた高台に設置されました。研究チームは、この距離が遠くなることに対して機器の感度が十分ではないことを懸念していましたが、ジャングルの森の上を斜面まで飛行するドローンを移動目標として使用し機器が適切に動作していることを確認できました。

「早期警報としてこのシステムが成功する鍵となるのは感度です」とAmiri博士は付け加えます。「Spectrum製カードをテストしたところ、-100 dBm という信じられないほど優れた感度があることがわかりました。そのため、PDCの最初の兆候である火山の小さな動きをすべて確認できる移動目標インジケーター (MTI) システムを構築できました。」

チームが直面した最大の課題は、暑さ・湿気・蚊でした。彼らはそれらから自分自身を守るだけでなく、すべての電子機器も守らなければなりませんでした。 湿気・雨・野生生物を防ぐために金属製の箱が使用されますが箱に穴を開けることはできず、更にジャングル内の気温は 35℃を超えるため冷却が困難です。 箱を日陰に置き、箱の中にファンを付けて空気を循環させることが役に立ちました。チームは現在、熱を放射するためのボックス上部の大きなフィンや太陽電池式小型冷蔵庫など次のシステムの改良に取り組んでいます。「Spectrum製カードを選択した要因の 1つは、広い温度/湿度範囲で動作するように設計されていることです。さらに、環境が暑くなりすぎた場合に保護するためのサーマルカットアウトも備えています」とアミリ博士は結論付けました。「私は他のプロジェクトで Spectrum製カードを使用したことがあり、その高い製造基準を知っています。ジャングルの奥地でも動作し続けると確信できるので、交換のために地球を半周する必要はありません。」

Early Warning figure3

 


原文ドキュメント:Spectrum社

Early warning system for dangerous volcanos with ADC card by Spectrum

Early warning system for dangerous volcanos.pdf

 

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Spectrum Instrumentation社について

Spectrum社は、Spectrum Systementwicklung Microelectronic GmbHとして1989年に設立され、2017年にSpectrum Instrumentation GmbHに改名されました。最も一般的な業界標準(PCIe、LXI、PXIe)で500を超えるデジタイザおよびジェネレータ製品を作成するモジュール設計のパイオニアです。これら高性能のPCベースのテスト&メジャーメントデザインは、電子信号の取得・生成および解析に使用されます。同社はドイツのGrosshansdorfに本社を置き、幅広い販売ネットワークを通じて世界中に製品を販売し、設計エンジニアによる優れたサポートを提供しています。 Spectrum社の詳細については、www.spectrum-instrumentation.comを参照してください。

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